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愛しているという声が 泣いているように聞こえた
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アルシャードffキャンペーンシナリオ『OVERtheRAINBOW』
無事、最終回を迎えて参りました。
正直、第4話だけかと思っていたのですが(笑)
たくさん考えて思いっきり楽しんだ、思い出深いセッションでした。

ので、今日の日記は分かり難い&ネタバレなのでご注意を。
しかも私はシナリオ本をお借りしたので、裏の部分もちらりと。
ちなみにパーティのキャラクターの名前を使わせて頂きました。言って頂ければ修正致しますので。

ちなみに追記には「ああ、こうしておけばよかった!」と後々フェイの中の人が悶えることになった幻のフェイエンディングを(笑)










キャンペーン終了後、マスターがしみじみと「フェイは本当にいいPC1(主人公)だったよ」と仰っていた意味が、ちょっと分かったような。
シナリオ本を見て、おおフェイよくやった!という点が、ふたつ。

まずひとつ、第3話『ふたつの世界』にて。
フォーゲルの“知恵の街”を訪れた後、ブレッヒの“心の街”を訪れたドロシー達。
ディストピアを目の当たりにしたドロシーが、心を持たぬヴァルキリー、リールに話しかけます。

【以下、実際のセッションより】

GM(ドロシー):では“心の街”と“知恵の街”に挟まれた街道。ドロシーは浮かぬをしています。「ねえ、リール。心の街って、どう思う?」
リール :「住人は幸せそうでした。彼らがそう思うのだったらそれでいいのではないでしょうか」
GM(ドロシー):「うーん…そうなんだけど。でも私はあんな街大っ嫌い。みんな幸せそうな顔してるけど、酷い街じゃないかなぁ」
オズマ:「だからと言って、知恵の街もあんまり良いとは僕は思わないね。そうだろ?」
GM(ドロシー):「……」
リール:「ではドロシーさんは一体どのような街がご所望なのでしょうか?」
GM(ドロシー):「うーん…どんな街……どんな街かなぁ」
フェイ:「ドロシー、カンザスって、どんな街だ?」
GM(ドロシー):じゃあその言葉にぱっと顔を上げて、「私の生まれたカンザスっていうのはね。ホントは別にそんなにいいトコロじゃないんだよ?すっっごい田舎で、原っぱしかないし、毎日が同じことばっかりで退屈だし。本当に何にもないの」
フェイ:「でも、ドロシーはカンザスが大好きなんだろう?」
GM(ドロシー):「うん、そう。……んー、でもあのふたつの街、とってもカンザスと違ってさ、色んなものがあるのに。何でみんなで幸せに一緒に幸せになれないんだろう?」

と、ここでフェイがつらつらと自分の意見を述べていきます。ちなみに中の人は私です。そして文字がピンクですがフェイは男です。
で、シナリオの流れとしては。

知恵/心の街へ行った後、ヴァレンス/リールにドロシーが街についてどう思うか尋ねる。
  ↓
ふたつの街を訪れた後のシーンで、ドロシーは、ふたつの街を見て思ったこと
と、カンザスへの思いをPC1(フェイ)に打ち明ける。

という流れで。
フェイは、ドロシーに打ち明けてくれる前に、ドロシーのカンザスへの気持ちを聞いたってことで。
びっくりしました…!マスターがすぐに応えてくれたので「?」とは思っていたのですが、まさかドロシーが話す予定だったとは!


もうひとつは、第5話『虹を越えて』にて。
絶望し奈落に取り込まれつつあるドロシーを説得するシーン。

【以下、実際のセッションより】

GM:ゆっくりと奈落が、ドロシーにまとわりついていく。
GM(ドロシー):「……もう、アスガルドなんていらない…。私が帰りたいって言ったから、みんなを巻き込んでしまった…。…もう、そんなのは嫌。私、帰れなくてもいい……」
GM:ゆっくりと、ドロシーは奈落に侵されていく。
フェイ:じゃあ、一歩踏み出して。「ドロシー、迎えにきたぞ。早く帰ろう。もうカンザスは目の前だ」
GM(ドロシー):「カン…ザス……?」
フェイ:「ああ、カンザスに。エムおばさんとヘンリーおじさん、あと、トトがいるところだ。原っぱばっかりで、毎日が同じ事の繰り返し。けど、みんなが一緒に暮らしてた、そんな温かい町、カンザスにだ」
GM(ドロシー):その言葉にドロシーはゆっくりと顔を上げる。「カンザスに……帰るの?」
フェイ:「ああ。俺はそのためにここまで来た」
GM(ドロシー):それにふわっと微笑んで、「ありがとう、フェイ……あなたのことなら私、信じられる!」

と、ドロシーは希望を取り戻し、フェイ達とともに神に立ち向かう。そんなシーンでした。
ここでのドロシー説得のキーワードは「カンザスに帰る」。
…フェイ、よくやった!よくやったよっ!!もう早速カンザスに帰すって約束してるし!

と、まあ、シナリオのポイントをよく掴める(?)子でした。
つまり、本当に主人公らしい、シナリオ通りに動く典型王道パターンな子ということなのですが。
ロールプレイしていて気持ちの良い子でした。



あと、第4話と第5話にフェイが思っていたこと。
とにかく、ドロシーがどれだけ大切な存在になっていたのかが、よく分かりました。
泣くドロシーを慰めた時も、いの一番にアカデミーに乗り移ったことを咎めた時も、ドロシーが絶望してロキの手に墜ちた時も。
ドロシーが全力でぶつかってきたぶん、だんだんとフェイも全力でぶつかっていった気がします。
だから、本当にカンザスに還したいと思っていました。
ドロシーが「カンザスに帰れなくてもいい」と呟いて去っていった時、フェイは本当に力を失くして、愕然としていました。崩れ去るアカデミーの中、瓦礫と一緒に地に落ちてもいいと思ったくらいには。
そこでアザレイに叱咤され、なんとか動くことはできたのですが。
ローブの少年の誘惑には負けてしまいそうになっていました、実は。
ドロシーはカンザスを求めていない。ここにいる意味はない。元の、ミッドガルドに戻れるのなら、戻ってもいいのかもしれない。
けれど、「ドロシーのことも、アスガルドのことも忘れちゃえばいい」という言葉で、目を覚ましました。
ドロシーのこと、仲間のこと、これまで旅してきたことを、忘れたくない。ドロシーは自分を信じてくれてきた。自分が、ドロシーを信じなくてどうする。今まで自分は何を見てきた?ドロシーがどんな思いでここまできたのか。一番よく知っているのは自分だろう?
「頑固な思いこみ」というローブの少年の言葉も確かですが、フェイはこの誘惑を打ち破ったことで吹っ切れます。
ドロシーが信じてくれている自分が信じるドロシーを信じて。
陰鬱な気分は吹き飛んで、目が覚めた頃にはフェイの意志は固く、心は何故か穏やかでした。
もう、このフェイの心境の変化が、プレイヤーとしてすっごく楽しかったわけですよ!(じたばた)
ああもう!どうして私はフェイの光源氏計画を実行できなかっ(殴)

フェイがしっかり立っていたので、その後はわりかしすんなり言葉が出たのですが、最後の選択には本気で苦しみました。
選択は間違ってなかった。そう思えるのですが………いろいろと演出し忘れたのが心残り。もうあの時いっぱいいっぱいだったので。
今までのことを全て忘れてしまうと、なかったことになってしまうということに対する、恐怖と悲しみとその他諸々が複雑に絡みあって、プレイヤーがついていけなかった…。くぅっ!

そんな思いと共に、セッション後、感傷に浸ったあと、「しまった。ああいうエンディングにしておけばよかった」と猛烈に後悔した、脳内のフェイエンディングを。
ここ数年文章を書いていなかったので稚拙の極みな仕上がりになっているのは目を瞑って頂けると幸いです。


OTRテイク2、とか無茶なことを言ってみる(笑)



ヴァレンスが見つめた虹の麓

そこに、小さな村があった



Ending:虹の下で



朝陽が差し込む宿の一室で、フェイは目を覚ました。
雨が降っていたのか、窓は塗れている。ガラスを伝う雫が透明な朝陽を反射して、キラキラと輝いていた。
「……」
永い、夢を見ていた気がする。
ぼんやりとした意識の中、そう思った瞬間に、つ、と涙がフェイの頬を静かに伝った。
「あれ、なんで、俺……」
とっさに左手で涙を拭って、何故か違和感を覚える。

──足りない

左手に、何かが足りなかった。
小さくて温かな、誰かの手のひら。すっぽりとフェイの大きな手に収まるほどの、華奢な。この手に馴染んだ、いまだ感触の残っている──
「…っ」
涙腺が壊れたかのように、フェイの目からボロボロと涙が零れ落ちた。
尽きることを知らないかのように。次から次へと。

──足りない

目に浮かぶのは、眩い太陽の色の髪と、蒼い空の色の目を持った少女の笑顔。
耳に残るのは、明るく、時に切なく、自分の名前を呼ぶ少女の声。
服を引っ張る手。抱き締めた時のぬくもり。故郷を望む涙。向けられた、真っ直ぐな瞳。

分からない。それが誰なのか、何だったのか、分からない。覚えていない。一夜の夢のなかのことなのに。
あの夢を想うと、涙が止まらなかった。
拭う掌は、何かが欠落した自分の手。
記憶を覆う分厚い壁を溶かそうとするかのように、フェイは涙を流し続けた。



やがて涙が止み、フェイは乱暴に涙の跡を拭うと、ベッドから下りて顔を洗った。
熱をもった頬に、水の冷たさが心地良い。
「…アスガルド」
ぽつりと、呟く。クエスター達がシャードの導きに従って目指す理想郷。
「俺は…」
鏡に映る自分の姿。フェイは、もう一人の自分を鋭く睨みつけた。まるで、敵と対峙しているかのように。決意を込めて小さく息を吸う。
「俺の意志で、アスガルドを目指すんだ」
失われたものを探しに。いつか巡り合える希望を目指して。

フェイは慣れた手つきで旅支度を調えると、宿をあとにした。
雨上がりの澄んだ空が広がる。何となく見上げた空には虹はなく、何故だかそのことが悲しく思えた。
空から視線を外して、自分の足元を見つめる。
今まで自分が踏み締めてきたミッドガルドの大地。不思議と酷く懐かしい。
「…よし、行くかっ」
脳裏を掠めた夢を振り払って、一歩歩み出す。
勢いよく前を向いたフェイの目に、飛び込んできたものは。

「…ッ!」

後ろ姿だけれど、間違いない。
太陽を思わせる金色の髪。
空を切り取ったかのような青色の目。
水色のエプロンドレスに、風に揺れるふたつの三つ編み。

声も出せずに立ち竦むフェイの視線の先の人物がゆっくりと振り返る。
小さな唇が、動く。



フェイ



彼女の、名は──






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